edamameのテレビブログ

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戦争で広がる格差・・・「カムカムエヴリバディ」#11


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 ラジオから英語講座は流れなくなり、日本軍の勇ましい戦果が聞こえてくる。人々の生活にも戦争の影響が徐々に出始めていた。吉兵衛(堀部圭亮さん)は衣料品が切符制になると聞いて布を買い占め、人々から反感を買っていた。一方、雉真繊維の工場では、学生服は作れなくなり、軍服の製造をすることになっている。

 安子(上白石萌音さん)に思いを寄せる勇(村上虹郎さん)は東京の大学へ進学する。野球が評価されての上京ではあるが、安子のいる岡山から出たいというのが本心である。

 春休みになり、稔(松村北斗さん)が帰省した。母・美都里(YOUさん)ははりきって、鯛のお刺身や牛肉を用意する。その席で、父・千吉(段田安則さん)は稔に工場拡張を考えていると伝える。稔は資金が心配だから賛成できないと言うが、千吉は大東亜銀行から無利子無担保で融資が受けられる話があると言う。しかし、それには条件があった。それは頭取の娘と稔が結婚すること。

 稔は意を決して「父親の決めた相手とは結婚できない、『たちばな』のお嬢さんと結婚したい。」とはっきりと言うが、千吉は「頭を冷やしてよう考え。」と言って取り合わず、部屋を出て行ってしまう。

 翌日、たちばなに雉真から電話で和菓子の注文が入る。安子はやっと稔に会えると、浮き立って和菓子を届ける。しかし、玄関先に出てきたのは稔ではなく、無表情の美都里だった。今日はこれでおしまい。

 これが格差というものか。安子の家では、杵太郎(大和田伸也さん)の足袋も満足に買えないし、小しず(西田尚美さん)は毛糸を節約するために安子にセーターではなくチョッキを編む。一方、稔の家では夕食にごちそうが並ぶ。学生服は作れなくても軍服を作れるので経営は安泰だ。さらに融資を受けて事業を拡大しようとしている。

 どう見ても釣り合わない橘家と雉真家。子の結婚をビジネスチャンスとしか見ていない千吉が、稔と安子の結婚を許すはずがない。安子が稔と結婚したら、千吉は絶賛しているたちばなの和菓子が食べ放題になるが、それは魅力ではないらしい。美都里もたちばなを小さい和菓子屋と見下している。駆け落ちという最終手段があるが、稔は安子と駆け落ちしてまで一緒になりたいという感じには今のところ見えない。

 そう考えると、安子と稔が結婚できる確率は限りなくゼロだろう。あの二人、とてもお似合いで素敵なカップルなんだけどなあ・・・一視聴者としてはどうにかならないものかと思ってしまう。

 二人の恋の行方はさておき、私は戦争初期の人々の暮らしに興味を持って見ている。「戦争は遠くの国で起きている出来事。それなのに人々の生活に支障が出ている。」という描写は私にはとても新鮮だ。暮らしは戦争のせいで不自由になっているけれど、戦争そのものは他人事。美都里のセリフがそれを端的に表している。

 戦争は突然やってきて人々の生命を脅かしていたわけではない。今まで自由に買えていた物が買えなくなるというところから、じわりじわりと人々の生活に入っていったのだ。空襲から命を守ることも恐怖だったとは思うけれど、日常がどんどん変化していくことも不安でたまらなかっただろうなあと想像する。

 明日は美都里が安子に要らぬことを言うのだろう。負けるな安子。