和菓子作りが出来るまでに心身とも復活した金太(甲本雅裕さん)。作ったおはぎを千吉(段田安則さん)や美都里(YOUさん)に食べてもらう。千吉は金太に稔(松村北斗さん)が帰ってきたら足袋や学生服だけでなく新しい事業を始めたいと話す。
10月になり、岡山では焼け落ちた百貨店が開店した。少しずつ街に活気が出てきていた。金太は雉真の家を出て「たちばな」を立ち上げ、安子(上白石萌音さん)もそれを手伝う。ときには小しず(西田尚美さん)のふるさとに行き、畑仕事を手伝い、小豆をもらってくることもあった。
おはぎのような甘いお菓子を作り、店先で売る金太と安子。すると大人にまぎれて、小さい男の子がお菓子を盗んで食べてしまった。お金を持っていないというその子に、金太は1箱分のお菓子を渡し、自分の才覚で売ってこいと言う。お菓子はいくらで売ってもよく、売り上げの1割がその子のものになるという仕組み。周囲の人たちはその子は戻ってこないぞと言うが、金太はその子が戻ってきたら算太(濱田岳さん)は帰ってくる、戻って来なかったら帰ってこない、という賭けをしていた。
その子は戻ってこなかった。だが、その日の夜、「おはぎのおっちゃん。」と言う子供の声と戸を叩く音がした。金太が戸を開けるとそこにいたのは算太だった。算太は「無事帰還しました。」と言い、紙幣を金太に見せる。算太は女性の同情を誘ってお菓子を売り、大金を手にしていたのだった。
「よう帰ってきてくれたのう。」と喜ぶ金太。そして金太は家族を死なせてしまったことを算太に謝る。算太は「戦争だから仕方ない。気を張るな。」と言う。そして部屋にあるラジオをつけると、戦前の橘の家族や職人さんたちがみんな笑顔でラジオを聞きながらおはぎを食べているシーンが映し出される。
そして、ナレーション。
「金太が亡くなっているという知らせが入ったのはその翌朝のことでした。」
最後の最後でこんな悲しいことが起こるなんて。お店を始めて金太は完全復活だとなんの疑いもなく思っていたので、あまりのショックに言葉を失ってしまった。確かに「おはぎのおっちゃん!」という子どもの声がしたのに戸を開けたら算太がいて、なんか変だなとはずっと思っていた。それがそういうことだったとは。
でも、金太は亡くなるときに、勘当した算太とも和解し、楽しかった家族や職人さんたちとの時間を思い出していたのであれば、金太にとっては幸せな最期だったんじゃないかなあ。というより、安子を思うと辛すぎて、それぐらいしか救いがない。
戦争で死ぬって、戦地に行ったり、襲撃を受けたりするだけじゃないんだな。金太は病死なのかもしれないけれど、戦争が起きていなかったら、母と妻を戦争で失っていなかったら、こんなに早く死ななくて済んだだろう。
そして明日は金曜日。お菓子を盗んだ子はお金を持って「たちばな」に戻ってきてほしいし、出征した若者4人(稔、勇、算太、健一)は無事帰ってきてほしい。私の願いは届くかな・・・