最終回のオープニングは、2021年の「たりないふたり」の解散ライブ直前から。落ち着かない山里さんは楽屋をウロウロ。若林さんは膝をテーピングして準備万端。
時間は遡って2012年。若林さんと山里さんは夜中から明け方まで深夜番組「たりないふたり」の漫才を作っている。徹夜明けで次の仕事に向かったり、漫才を考えている途中で寝てしまったり・・・。この番組は3か月限定の放送。ライブがうまくいかないクリー・ピーナッツはこの番組に救われる。
そして2014年には「もっとたりないふたり」が同じく3か月限定で放送された。ふたりをリスペクトし過ぎるクリーピーナッツはCDをリリースする。
若林さんは実家に帰った。若林さんは家庭教師から「社会」を学んでいるとお母さんに話す。お父さんが生きた時代を知りたいのだ。そして、お父さんが幸せだったか、も。するとお母さんは「幸せよ、代わりに答えるけど。私もね。」と言った。
2019年、山里さんは俳優の蒼井優さんと結婚。山里さんは実家で家族とカレーライスを食べている。スポーツ新聞1面の「蒼井優 山ちゃん 結婚」が額に入れて飾られている。
山里さんはしずちゃんと高山マネージャーと焼肉のお店へ。山里さんは、今までどおりのお笑いをやっていいか悩んでいた。しずちゃんは「おもろなったらええだけの話」と言い、高山マネージャーも「実践あるのみ」と励ます。
若林さんと春日さんは同窓会に来ていた。年収を聞かれ、若林さんがこっそり教えると、「ずるくない?しゃべってメシ食うだけで。」と言われてしまう。その帰り道、すれ違う男と目が合った若林さんはとっさに視線をそらす。直後にその男は工事現場のコーンを蹴った。怒りのやり場を探しているようだった。若林さんはその男にかつての自分を重ね、その男と気が合うと思った。でも「君と一緒」というのはもう許されないのだろうとも感じていた。
5年ぶりにふたりはライブ「さよなら たりないふたり」を開催。山里さんはそのときのことをラジオで話す。山里さんは楽しかった、若林さんとやる漫才の高揚感が幸せだったと振り返った。山里さんは舞台終わりに飲みに行こうと若林さんを誘うが、舞台で全部しゃべったから話すことがないと断られてしまったエピソードも話した。
2020年、緊急事態宣言発令により仕事が一変。テーブルにはアクリル板、マスクの着用、リモートの打ち合わせ・・・。山里さんと若林さんは漫才したいな、とつぶやく。
そして2021年「たりないふたり」解散ライブ当日。舞台の両袖からふたりが中央へ向かい、ライブスタート。12年前の思い出、山里さんの家に遊びに行くネタ、たりてる側に行こうとする若林さんを止める山里さん、などなど。「あ~、たりなくてよかった。ありがとうございました。」とふたりはお辞儀をして、ライブは終了。続いて、クリーピーナッツが歌を披露。彼らにお礼を言うふたり。
その後、若林さんが倒れてしまった。救急車で運ばれた若林さんは、過呼吸と診断される。お見舞いに来た島プロデューサーに若林さんは「あの、漫才、良かったですか。」と聞いた。「面白かったですか。」とは聞かなかった。その答えは「めちゃくちゃよかった。」だった。
山里さんは全力でライブをやって倒れた若林さんに嫉妬。高山マネージャーがフォローする。また、春日さんは若林さんの代わりに司会進行を務めることになった。
2023年、若林さんと山里さんの半生がドラマ化されることになった。演じる森本慎太郎さんと髙橋海人さんが登場し、ふたりは驚く。
若林さんが撮影現場に差し入れを届ける。山里さんはSNSでドラマ実況をしたり、ラジオ番組に森本慎太郎さんを呼んだりした。オードリーはラジオイベントで東京ドーム満席を目指し、山里さんは朝の情報番組に出演する。そしてドラマは終了。
漫才したいなあとつぶやくふたりは、日テレのエレベーターに一緒に乗り込む。エレベーターのドアが閉じて、おしまい。
これからも活躍していくであろう若林さんと山里さんにふさわしい、等身大の最終回だった。オードリーのオールナイトニッポン@東京ドームや山里さんがMCのDayDay.の宣伝もサラリと入る。ほぼ実話のドラマなので、今の彼らを描くなら入れないと不自然になっちゃうのかもしれない、と思うことにした。ドラマで若林さん役を演じる髙橋さんとドラマ現場に差し入れを持って行く若林さんを演じる髙橋さん、ラジオ番組で山里さん役を演じる森本さんと本人として出演する森本さんのシーンはふふっと笑ってしまった。
今回一番印象に残っているのは、若林さんがクラスメートに年収を正直に言ったら「ずるくない?」と言われたシーン。私は「ずるい」という言葉を本当にズルをしていないことに使うことがもともと大嫌い。若林さんはずるいことなんて何一つしていないのだ。しゃべって飯食う番組に出られるまでどれだけ努力してきたか、その番組に出続けることがどれだけ大変なことか。まあ、ずるいと思われるぐらい楽で楽しそうに見えるなら、芸人としては大成功なのだろう。
このドラマが始まる前は、面白そうだけれどうまく行くのかなあと思っていた。現役の芸人さんの話なので、どうしても本人と演じている人を比べてしまうから。でもその心配は杞憂だった。森本さんは外見まで完璧に山里さんだったし、髙橋さんはしゃべりかたがまるで若林さんだった。戸塚純貴さんの春日さんも富田望生さんのしずちゃんも笑っちゃうぐらい似ていた。
ストーリーも楽しめて、エンタメとしても最高に面白かった。このドラマを楽しめた私は「幸せ」だ。