登坂不動産からミネルヴァ不動産に管理業務を変更するオーナーが増えている。登坂不動産は厳しい状況に追い込まれており、社長の登坂(草刈正雄さん)は力を貸してくれと社員に頭を下げた。永瀬(山下智久さん)が任せてくださいと言うと、月下(福原遥さん)も微力ながら頑張ると続けた。
永瀬と月下が町内会長の平尾にあいさつに行くと、平尾は亡くなっており、相続人の甥・晴哉(星田英利さん)がいた。大阪に家族と住んでいる晴哉は土地を売却したいと思っていたが、ミネルヴァの口車に乗せられ、アパートを建て、条件の悪いサブリース契約を結んでしまった。
更地になった土地を永瀬と月下が眺めていると、晴哉が新車に乗ってやってきた。アパート経営で収入が見込めると思い、車を購入していたのだ。そこへ見知らぬ子供がやって来て、土器のかけらのようなものを永瀬に見せた。更地で拾ったという。
土器や貝塚など遺跡として認められているものが土地から出てきた場合、文化財保護法によって教育委員会の届け出をしなければならない。その調査の結果、文化財だと確認された場合は発掘調査が長期に及ぶ。また、調査費用や発掘作業の費用も晴哉が負担することになると永瀬が説明すると、晴哉は「どうしたらいいねん。」と慌てる。
永瀬は家で榎本(泉里香さん)が作った夕食を食べるのが日課になっていた。月下との関係を疑われた永瀬は月下は後輩であり、その気はないと断言。榎本は永瀬の目をじっと見て、信じます、と言った。
相変わらず永瀬は嘘が付けないので、契約が思うように取れない。永瀬は神社に行き、祠と石碑を壊したことを謝り、元に戻してほしいとお願いした。すると神社に風が吹き、永瀬の身体から白いもやもやとしたものが出て、空に飛んで行った。
オフィスに戻った永瀬は、大河(長谷川忍さん)と話しているときに嘘が付けるようになったことに気づく。以前の営業スタイルに戻った永瀬はどんどん成績を上げていった。
その一方、永瀬の正直なところが好きだった榎本は永瀬のうすっぺらい発言に幻滅し、嘘をついて契約を取ろうとする永瀬を月下は尊敬できないと言った。
40戸のマンションのオーナー・藤堂(でんでんさん)から管理委託を解約したいという連絡が入った。永瀬が説得に向かうと、そこにはすでにミネルヴァの花澤(倉科カナさん)がいた。管理委託料を2%にするというミネルヴァに対抗するにはより低い委託料を提示しなければ勝ち目はない。ところが、永瀬は現状通り5%でやらせてもらえないかと藤堂に言った。そして、委託料を安くすると管理が手薄になってしまう、住民のためにも契約を継続してほしいと説明した。
藤堂が迷っているところに、石田(山崎努さん)がやって来た。和菓子の新作を持って来た石田は藤堂に「永瀬はバカ正直な男だ。俺が保証する。」と言った。それを聞いた藤堂は管理委託を登坂不動産で継続すると決めた。
帰りがけに永瀬がお礼を言うと、石田は永瀬に「いい顔になったな。」と写真をパチリ。石田は登坂社長から連絡を受けて、駆けつけたという。
ミネルヴァに騙されて契約したと気づき、ぼんやり歩いていた晴哉は交通事故に遭ってしまう。その場にたまたまいた月下が病院に付き添うと、そこへ永瀬も合流。相続しなければよかった、と晴哉は悔やんでいる。
遺跡の発掘調査が始まった。永瀬と月下が現場にいると、桐山(市原隼人さん)がやって来た。永瀬が桐山に助ける方法を考えてほしいと頼むが、桐山はお金にならない仕事はしないスタンスだ。
永瀬と月下はミネルヴァの鵤社長(高橋克典さん)に直談判。契約解除に応じるというが、違約金660万円を払えと言う。月下と永瀬が食い下がるもどうにもならない。そこへ登坂が登場。現金1千万円を見せ、平尾の違約金を肩代わりすると言った。鵤が手を打つと言うと、登坂は、解体中に大量の土器が出てきたことをミネルヴァから口止め料をもらったという解体業者の話をし始めた。それが事実なら、業務停止か免許取り消しの可能性もある。
登坂に出るとこ出るか、違約金なしで契約解除かを迫られ、鵤は金はいらんと言った。登坂は更地にかかった費用として300万円をポンと机に置いた。
土器を発掘した業者を調べたのは桐山だった。永瀬が桐山にお礼を言うと、あなたのためではないとそっけない。大きな仕事をしている桐山と比べて自分は成長していないと永瀬がこぼすと、桐山は「同じ場所を歩いているとしても、それがらせん階段だったら少しずつ上にのぼっていることになるんじゃないですか。」と言った。
マダムが登坂とバーで飲んでいる。マダムはその土地を買ってあげると言う。発掘調査が終わったら、アパートを建ててミネルヴァに管理委託するつもりだ。マダムは昔、登坂と鵤に同時期にプロポーズされたときに、二人にはフェアでいようと決めていたと言う。
花澤はミネルヴァは辞めず、実績を上げて会社の株を半分取得し、鵤と対等に話せるようになると鵤にはっきり伝えた。
居酒屋で永瀬は榎本に会っている。結婚を前提に・・・と言いかけたが、そこに風が吹いた。結婚する気がさらさらない永瀬は嘘が付けず、榎本を怒らせてしまう。祟りはおさまっていなかった。
月下がついに営業成績1位を獲得。永瀬は2位。永瀬は正直にやっていくと決め、月下に「これから自分のことを『正直不動産 永瀬財地』と呼べ。」と言った。二人が歩く道の後ろで風がひゅうと吹いていた。「正直不動産」はこれでおしまい。
ギュギュっと濃い最終回だった。そして清々しい気持ちにもなった。
私が今回心に残ったのは3か所。
一つ目は、永瀬と石田のシーン。助けてもらったお礼を言う永瀬に「いい顔になったな。」って石田が永瀬に言うんだけれど、これは山崎努さんから山Pへのメッセージにも思えてジーンとした。しかも「いい顔」って最上級の誉め言葉。そして、別れ際、永瀬は頭を下げて、石田を見送る。セリフのない、BGMだけのこのシーンが映画のワンシーンのようでとても素敵だった。
二つ目は自分が成長していないと感じている永瀬に桐山が言った「同じ場所を歩いているとしても、それがらせん階段だったら少しずつ上にのぼっていることになるんじゃないですか。」という言葉。
私たちはなるべく早く結果を出したいと思ってしまうし、すぐに結果を出している人をうらやましいと思ってしまう。便利になった現代は、その傾向がますます強くなってきた気がする。でも、そんなに焦ることはないのかも。らせん階段でも上り続けていればゴールに必ず到着する。せっかちな私がハッとした言葉だった。
最後はマダムと登坂のバーのシーンから。マダムの、登坂不動産から土地を購入し、建てたアパートをミネルヴァで管理してもらうというくだり。
視聴者にとって登坂は善人で鵤は悪人だが、マダムにとっては登坂も鵤も同じぐらい大切な人。二人の男性を助けるマダムの懐の深さに惚れ惚れした。大岡越前のお裁きのようなフェアな感じが心地よい。この役が大地真央さんだった理由が最終回になってようやく分かった。草刈正雄さんと高橋克典さんにプロポーズされる魅力的な女性を演じられるのは彼女しかいない。
そして、来週は感謝祭が放送される。最終回放送後のドラマの感謝祭って、何やるんだろう。楽しみに待つ。
※第10話の用語
管理業務:物件の入居者募集から家賃集金、クレーム対応、修理手配など
管理委託料:オーナーが管理会社(不動産屋)に対して支払う手数料のこと(相場は家賃収入の5%)
埋蔵文化財包蔵地:埋蔵文化財(遺跡など)の存在が知られている土地のこと
※山崎努さんが出演した第一話のブログはこちらからどうぞ。また、カテゴリーで正直不動産を選ぶと全話のブログが読めます。よかったら。