edamameのテレビブログ

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「カムカムエヴリバディ」が大好きだった理由


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 「カムカムエヴリバディ」、先週土曜日の最終回からもう数日が経っているけれど、未だに余韻に浸っている。月曜日から「ちむどんどん」が始まったので、沖縄を楽しみたいと思いながらもまだ見ておらず・・・。

 もともと私には朝ドラを見るという習慣がない。朝ドラは、ヒロインがキラキラしていて、大きな夢があって・・・という設定が多く、「スナックキズツキ」とか「東京放置食堂」とかが好きな私は冷めた目で見てしまうのだ。

 そんな私に「カムカムエヴリバディ」は衝撃だった。

 まず、ヒロインがまぶし過ぎなかった。初代ヒロインの安子は、和菓子屋さんの女の子。戦争の時代だったので、夢というより生きることに懸命だった。のちに和菓子屋を再建するという夢が出来たけれど、それは兄がお金を持ち出して行方不明になってしまったことで終わる。

 二代目ヒロインのるいは回転焼き屋を始めるが、これは自己実現ではなく、家族を養うため。晩年になって、歌のうまさを買われてステージに立ったけれど、これも自分のためではなく、お母さんに届いてほしいという願いから。

 三代目ヒロインのひなたは、高卒で映画村に就職。上司に恵まれ楽しく仕事をするが、大きな夢はない。英語を学び続けていたら、安子から留学に誘われて、ラジオ英語講座の講師にまで上り詰める。強い意志はなく、流れに身を任せていた結果だ。

 ヒロインが夢にガツガツしていないところが私には良かったのだと思う。夏休みの宿題をギリギリまでやらないひなたが、大人になって急に英語に目覚めてバリキャリになっていたら、私は置いて行かれた気持ちになっていただろう。そんなひなたの人生が後半になって輝き出したのは見ていてとても気持ち良かった。

 100年を半年で描くというのも、飽きっぽい私にはちょうどよかった。ヒロインの人生に影響を与えたエピソードは丁寧に描かれていて、それ以外はじゃんじゃんワープしちゃうという潔さ。安子がアメリカに行った直後のるいや、幼児のひなた、アメリカに住む安子の様子を、私たちは知らない。でも、それがなくても問題は全くなかった。登場人物の醸し出す雰囲気で私たちはその空白をきちんと埋めることが出来た。それは脚本のすばらしさでもあり、俳優さんの演技力なのだろうと思う。

 そして、なんといってもこのドラマのすごさは、ヒロイン以外の登場人物の人生にも思いを寄せて見ることが出来たことだと思う。算太の人生、虚無蔵の人生、雪衣の人生。ひとりひとりに人生があるのは当たり前のことだが、ドラマの世界ではそこまで考えが及ぶことは意外と少ない。でも、なぜか「カムカム」は自然とそういう気分になり、ヒロインの敵役のような存在であっても「この人にはそうしなければいけない理由があったんだ。」と納得できた。ヒロイン以外は脇役、ではなく、登場人物全員が主人公のようなドラマだったなあとしみじみ思う。

 「ラジオ英語講座と時代劇が出てくるのかあ。なんか面白そう!」と見始めたドラマをこんなにも好きになるとは思ってもいなかった。

 このドラマに出合えて本当によかった。