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黒ひげ危機一発に泣く「流星ワゴン」第1話


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 TVerに「厳選!名作ドラマ」というコーナーがあった。話題になったドラマがズラリと並ぶ。そのなかにひときわ輝いている(ように見えた)サムネイルを発見。流星ワゴン。2015年1月~3月に放送された日曜劇場である。

 リアルタイムで見てハマり、原作も読んだ記憶があったので復習のつもりでなんとなく第1話を見始めたら、びっくりするぐらい覚えていなかった。そして、新鮮な気持ちで最後まで見続けて、感動して泣いてしまった。

 永田一雄(西島秀俊さん)は、会社をリストラされたうえ、妻・美代子(井川遥さん)に出て行かれ、一人息子・広樹(横山幸汰さん)は中学受験に失敗し家庭内暴力で手が付けられない。広島に住む父親・忠雄(香川照之さん)はガンが進行し、余命を宣告されている。

 そんなある日、一雄は橋本義明(吉岡秀隆さん)&健太(高木星来さん)親子に声をかけられて車に乗る。橋本親子は交通事故で亡くなっているが、成仏できずにこの世でいろんな人を過去に連れて行っているという。車が到着したのは一年前。まだ一雄が会社をリストラされる前で、美代子も出ていく前で、広樹も荒れる前。なぜかそこに一雄と同い年の忠雄もやって来て・・・、というなんともファンタジーなストーリーだ。

 借金の取り立ての仕事をしている忠雄が嫌いで、後を継がずに上京した一雄。父との思い出は苦いものばかり。子供の頃、一緒に観覧車に乗りたいと言ったのに乗ってくれなかったこと。家出をしたときに、母は捜してくれたが父はパチンコに行っていたこと。「黒ひげ危機一発」というゲームが欲しいと言ったのに買ってくれなかったこと。

 でも、それらは全部事実とは異なっていたことが今になって判明する。忠雄は一雄が行方不明になったと聞くと、パチンコをやめて必死に捜し回った。そして一雄を見つけるも、どう声をかけていいか分からず、警察に子供を保護するように電話をした。パチンコをしていたのも、おもちゃ屋さんでは売り切れで買えなかった「黒ひげ危機一発」が景品にあったからだった。観覧車に乗らなかったのは、高いところが怖かったから。

 本当は子を思う優しい父親だったのに。言葉遣いや態度がもうちょっとソフトな感じだったらよかったのに。言葉の足りない父と息子の関係がとてももどかしい。そして、お母さんがお父さんの優しさをもうちょっと息子に伝えていればよかったのに、とさえ思ってしまった。

 こんなに感動した作品なのにどうしてあまり覚えていないんだろうと考えてみた。私が年を取って涙腺がもろくなったから、というのもなきにしもあらずだが、たどり着いた結論は、それはその時代がただただ平穏だったから。

 2015年は自由だった。新型コロナウィルスなんて地球上に存在していなかった。みんなが好きなときに好きな場所に行って好きなことをすることが出来た。そしてそれがふつうだった。

 過去にさかのぼることは不可能でも、当時は、現在と未来に希望があった。だから、過去に対しての思い入れは今ほどなかったと思う。「流星ワゴン」は素敵な作品だったけれど、リアルな生活とはかけ離れたファンタジーだった。

 残念ながら2022年6月の日本はまだコロナ禍にある。マスクをせずに旅行に行ったり、外食したりできる日は一体いつになるのだろう。そんな現実から逃げたくなって、吉岡秀隆さんの車で過去に戻り、コロナのない自由な暮らしを味わってみたいなあなんて思っている。

 「流星ワゴン」、ファンタジーだけど、ストーリーはやや重め。見るなら疲れていないときがオススメ。2022年6月14日時点で第4話まで配信中。久しぶりに全話見たいドラマをTVerで見つけたぞ。

tver.jp