edamameのテレビブログ

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令和時代の「サザエさん」を考える


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 ちきりんさんがVoicyで「サザエさんはそのうち放送できなくなる」というタイトルで音声配信をしていた。令和の時代になっても昭和の価値観のまま、明らかに性別による役割分担を固定的に表しているアニメが日曜の夕方に放送されていることを問題視している。

 そういえば、私はサザエさんを久しく見ていないなあと思った。私がサザエさんに違和感を覚えたのは、子供が生まれてからだった。当時は赤ちゃんのお世話をしながら家事をやるというのが想像以上に大変だったので、サザエさんの恵まれた状況(家事はフネさんと分担、カツオくんやワカメちゃんがタラちゃんと遊んでくれる)がうらやましかったのかもしれない。

 令和になった現在の日本で、サザエさんのように自分の親と同居し、専業主婦で子育てしている人ってどれぐらいいるのだろう。たぶんごく少数だと思う。サザエさんはもはやファンタジーか、古き良き昭和の時代を懐かしむ作品なのだ。

 厄介なのは、現在の日本の状況とはかけ離れた設定なのに、いその家とフグ田家がいかにも今存在している家庭のように描かれていること。サザエさんの唯一無二の髪型とフネさんの和装は令和ではない雰囲気を出しているけれど、それだけではまだまだ不十分。

 優雅な専業主婦ライフを満喫しているサザエさんを見て、楽しそうでいいなあと思う子がいるかもしれない。家に帰れば上げ膳据え膳の波平さんとマスオさんを見て、妻はこうやって夫の世話をしなくてはいけないと思う子がいるかもしれない。

 私が子供の頃のテレビ番組はわりと何でもアリだった。食べ物を粗末にして笑いをとる番組を見ていると、母や祖母が食べ物を粗末にしてはいけない、と私や妹たちに言っていた。私はそんなこと言われなくても大丈夫なのになあ、と思っていた記憶がある。

 でも、サザエさんを見ている幼い子に「これは昔の日本を描いたアニメだから、あなたはだんなさんに上げ膳据え膳なんてやらなくていいのよ。」とか「仕事から帰ったらでーんと座ってないで奥さんのこと手伝うのよ。」なんて声をかける大人はいるだろうか。きっといないし、もし言ったとしても、子供の頭に?マークが浮かぶだけだと思う。

 そしてその子たちは成長し、いつしかサザエさんを見なくなるかもしれないが、無意識のうちに植え付けられた古い価値観を持った大人になってしまう。成長の過程でその価値観を変えるチャンスがあればいいが、ない場合は古い価値観と現実のはざまで大人になってから苦しんでしまうかもしれないし、男だから、女だからと、性別を理由にチャレンジをあきらめてしまう可能性もある。これはよくないなあ。

 でも、サザエさんが好きな人は、令和に寄せたバリキャリのサザエさんや、友達親子のような波平とカツオを見たいわけではなさそう。であれば、サザエさんは「昭和を描いた昔のアニメである」と万人に意識させるしかないのかな。昔話の「かさじぞう」を読んで、男女平等ではないと怒る人は誰もいないのだから、サザエさんもいっそのこと昔話になればいいのだろう。白黒とかセピア色の映像なら、現代と違うって一瞬で分かるけど、どうかなあ・・・