割烹着のお母さん、という設定がベタ過ぎて見ていなかった「サムライカアサン」。でもお弁当を持って走って来る城島茂さんのTVerのサムネイルの引力に負けて見ることにした。放送は毎週月曜日深夜24:59~、日テレ「シンドラ」枠。
主人公は高校生の一人息子・武士(たけし・大西風雅さん)を育てているよい子(城島茂さん)。お母さんのお弁当が食べたいから毎日遠足だったらいいのに、なんてうれしいことを言う小学生だったたけしは、すっかり反抗期になり、よい子はたけしにお弁当を持たせるのにも一苦労している。
「サムライカアサン」はそんな高校生息子と母の親離れ・子離れをコメディータッチで描いたドラマのようである。お父さん役はよゐこの有野晋哉さんで、二人の間に絶妙に入るクッション的な役割を果たしている。
高校生の息子とその母なら、大なり小なりそういう感じってあるんだろうなあと思いながら見ていたら、いつの間にか泣いていた。客観的に見たら全然泣くようなストーリーじゃないのに涙が出るのは、涙腺が弱ってきたということだろうか。
たぶん、10年前の私が見ても泣かないと思うし、10年後の私が見ても泣かないだろう。リアルタイムで大人になりかけている子どもを育てている人たちの心にこのドラマは響くのだと思う。
子供が高校生になる頃は親は40代。自分の老いが目に見えてくるし、体調も万全でないことも多い。一方、子供は子供で将来の夢と現実のギャップや漠然とした不安を抱えている。
小学校低学年の頃なんて、今振り返ったら何も苦労なんてなかったなあ。たぶん当時はそれなりに悩んだこともあったとは思うけれど、今と比較すると大したことはなかった。
そんなことがベースにあるから「サムライカアサン」を見ると自分と重なるところがあって泣けてくる。私はよい子ほど子供をかまうタイプではないけれど、気持ち的には同じ。
このドラマはそれぐらい私の心をつかんでくるのに見終わった後の余韻がほとんどないのが清々しい。今回だとかつ丼のご飯が赤飯ってどんな味だろう、美味しくなさそうだな~という完全に違う方向に興味がいっている。
原作の漫画も読みたくなったけれど、まずはドラマを楽しもう。「切腹せな あかんかも~」って私も大したことないことで使ってみたい。