edamameのテレビブログ

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「東京2020オリンピック開会式」を見て〈後〉


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 開会式のクライマックス、聖火台への点火はこのようなリレーで行われた。

 

野村忠宏さん&吉田沙保里さん(オリンピックメダリスト)

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長嶋茂雄さん&王貞治さん&松井秀喜さん(野球界のレジェンド・国民栄誉賞受賞者)

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お医者さん&看護師さん ※コロナ患者の治療に貢献

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土田和歌子選手(パラリンピックメダリスト。東京パラリンピックにも出場)

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岩手・宮城・福島の子供たち6名 ※東日本大震災からの復興
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大坂なおみ選手(東京オリンピック出場)

 

 率直な感想を一言で言うと、大坂なおみ選手が最終ランナーというのはすばらしい人選だ、とは思えなかった。彼女は素晴らしいアスリートではあるけれど、今回のオリンピックが初出場。今年5月に全仏オープンの試合後の記者会見を拒否し、その後うつ病であることを告白して棄権している。私は彼女がオリンピックに出場するのは知っていたけれど、試合後のインタビューはどうするんだろう、大丈夫かなと気になっていた。   

 だから聖火台で堂々と点火する彼女を見てびっくりした。大舞台に立っていられるのであれば、うつ病は治ったのだろうけれど、そんなにプレッシャーのかかる役割をさせて、うつ病が再発したり、数日後のテニスの試合に影響が出たりしないのだろうか。

 また、聖火ランナーで唯一彼女だけがマスクをしていなかったことも気になった。全員がマスクをするか、全員がマスクをしないかの統一ぐらいはしたほうがよかったと思う。長嶋茂雄さんがマスクをして参加しているのに大坂なおみさんがノーマスクというのはどうなんだろう。

 それから、彼女を最終ランナーにして、「このオリンピックは多様性と調和です! 」と言ってしまう日本に心底がっかりした。肌の色が違う人を代表にすることが多様性なんて浅い。浅すぎる。

 確かに日本は極東の島国なので、同じような肌の色や顔立ちの人ばかりの国だった。でも、もうだいぶ前からそんな国ではない。場所によっては今もそうなのかもしれないが、少なくとも今回のオリンピック開催地の東京は違う。うちの子たちが通っていた区立幼稚園や区立小学校には数人ハーフの子がいたし(ハーフという表現が不適切だったらごめんなさい)、親の仕事の都合で日本に住んでいる外国人の子も何人かいた。子供たちのほうがとっくに多様性のなかで生きている。

 このオリンピックの開会式を考えた人たちは本当に平たい顔族の日本人同士としか長年関わって来ていなかったんだろう。だから、外国テイストをちょっと取り入れたことで「多様性」を表していると思い込んでいる。「imagine」は私もそらで歌えるほど好きな歌だが「TOKYO2020」で流す曲ではないだろう。つい先日放送された「音楽の日2021」で見た石川さゆりさんの「ソーラン節」のほうがよっぽど粋な日本を表現していたなあと思う。多様性のなかに「日本」も含まれることを忘れてはいないだろうか。

 地球を表現したドローン、市松模様を作るパフォーマンス、市川海老蔵さんの歌舞伎、ピクトグラム。伝統と最新技術、日本と世界を表現したかったんだろうなあという気持ちは分かるけれど、全体的に統一感がなかった。ひとつひとつは趣向を凝らしていただけに本当にもったいない。壮大な開会式を見たというよりも、いくつかのチャンネルをザッピングして見たような気分だった。ストーリーや、軸になるような具体的ななにかがあれば全然違ったのになあと思う。

 ちょっと物足りない感じで東京オリンピックが始まった。