edamameのテレビブログ

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「半径5メートル」就職氷河期世代はずっと頑張ってるんだ!


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 第八号「野良犬は野垂れ死ぬしかないってか?」は就職氷河期世代の話。ドンピシャの世代なので、リアルタイムで見て、もう一度見たくなって今日も見た。

 今回登場したのは二人の女性。二人とも就職氷河期世代で正規の仕事につけず、派遣社員として働いていたのたが、不当な派遣切りによりクビになってしまった。

 風未香(芳根京子さん)が中学生の時の塾の先生・阿南(須藤理彩さん)がそのひとり。今は喫茶店の接客とスーパーのレジ打ちの2か所でアルバイトをしている。風未香は阿南を助けたいと思い、仕事で知り合いになった労働問題を専門にしている弁護士さんとアポをセッティングするが、阿南は待ち合わせに来なかった。出版社の編集者としてキラキラ働く教え子と自分を比べて、惨めな気持ちになってしまったという。

 そしてもう一人は、風未香が取材をしたインフルエンサー須川渡辺真起子さん)。ハンドルネームの「野良犬」のごとく強気の女性で、不当な派遣切りをされて実際に裁判を起こそうとしている。風未香は須川の強気のコメントにずっと圧倒されていた。そしてインタビューの最後に須川が言った「(私たちを捨て駒のようにして回っている世の中でぬくぬくと生きている)全日本国民に謝って欲しい。」というメッセージを読者の共感が得られないだろうと勝手に削除し、須川を怒らせてしまった。

 すんなり大手の出版社に就職した若い風未香にとって氷河期世代の人たちの体験や現状はしょせん他人事だ。いくら資料を読んでも、直接話を聞いても就職氷河期を想像するのは難しい。

 須川を怒らせてしまい、困っている風未香の足を宝子は唐突にギュッと踏みつける。「痛い、痛い」と言いながら逃げる風未香の足を宝子はなお踏み続けた。ようやく足を踏むのを止め、「『うるさい、静かにして』って言われて黙ってられる?痛いって叫んでいるのに。なかったことにされそうなときに。」と言う。風未香はやっと自分の半径5メートルと須川の半径5メートルが同じではないことを実感する。

 風未香は須川に謝罪に行く。同行した宝子は須川の学生時代の友人に取材しており、その内容も掲載してよいかと須川に聞いた。その友人は須川のことを「内気だが、正義感あふれていた」と言っていたという。須川は少し笑って、もう一度取材を受けることを了承する。

 無事取材は終わり、氷河期世代の記事が載った雑誌が発売された。風未香はそれを阿南に読んでもらいたいとメッセージを送信する。

 「この先も就職氷河期は到来するだろう。一度チャンスを逃せば取り戻せない社会のままではあってはいけない。努力が報われない世の中ではいけない。誰のことも置き去りにしない世の中であってほしい。」という言葉でおしまい。

 なかなか見ごたえがあった。私もついこの前まで非正規で働いていたので、とても面白かった。社員は自分がやりたくないことを派遣にやらせる、という須川の言葉に「そうそう」と思わずうなずいた。私は派遣社員の経験はないが、パートとして複数の会社で働いてきた。このドラマを見て、あんなことやこんなこと・・・とパートのときに感じていた不快な気持ちをいろいろ思い出してしまった。

 正社員に安定した給料を出すために安い労働力として派遣やパートがいる。それは百も承知だが、派遣やパートだって心を持つ人間だ。何でも屋のように複数の人から指示されたことを次々にひたすらこなしたパートはしんどかったし、別のパート先では、正規と同じような責任のある仕事をさせられ、いわゆる「やりがいの搾取」ってヤツだなと思ったし、私はもう懲りて、一生パート事務はしないと決めている。

 コロナの影響でリモートワークという働き方も出てきたし、副業OKの会社も増えてきた。働き方が多様になったことはすごくいいことだと思うが、まだ日本の会社は古い体質のままのところが多い。アフターコロナは全く楽観視できないので、もしかしたらまた就職氷河期が来てしまうかもしれない。同じことの繰り返しにだけはなりませんようにと心から願う。