先日亡くなった橋田壽賀子さんの脚本にはセリフに状況の説明が入る。それはいそがしい主婦はテレビをゆっくり見ることはできないから、声だけ聴いていても内容が分かるようにするためだった。
私はテレビを見るのは大好きだが、何もせずにテレビの画面をじーっと見ることはほとんどない。番組がとても面白くて、気が付いたら手を止めて画面にくぎ付けになるということもあるが、それはごくまれで基本的にはテレビを見ているときは、洗濯物をたたんだり、食事をしたり、パソコンで調べものをしたりしている。たまにテレビを消音にして字幕を出した状態で、You Tubeを見たり、spotifyで音楽を聴きながらインターネットをしていることもある。
聞くだけでもテレビは楽しめる
インフルエンサーのちきりんさんがvoicy(音声プラットフォーム)でテレビは音声だけでも問題なく内容が理解できるというお話をしていた。「聞くだけのテレビ」を私は経験したことがなかったので、とても興味深かった。「voicy」で検索すればすぐ聴けるので聞いてみてください。
(注※このブログを書いたときは無料配信でしたが、2021年6月24日にチェックしたら当該放送「2021/5/30 #236 テレビも音声だけでいい?」は有料配信になっていました。)
そういえば私が高校生の頃に持っていたラジカセにはテレビが聞ける機能があったなあ。当時の私にテレビを「聞く」という習慣がなかったから、どの程度テレビを聞くだけで楽しめたかは分からない。でも橋田壽賀子さんの脚本のポリシーやラジカセでテレビが聞けたことを考えると、テレビは昔から「聞くだけでもいいよ」というカジュアルな存在だったのかもしれない。
実は使い勝手がいろいろあるテレビ
私は前述のとおり、音声を消して映像としてテレビを見ることはふつうにやっているので、それは全く問題ないと実感している。そして、ちきりんさんによると映像をチラ見もせず音声だけでテレビを聴くことも問題ないそうだ。
ということを合わせると、テレビは
・放送をふつうに視聴する
・TVerや録画で視聴する(CMを飛ばして見られるので時短にもなる)
・見るだけ(音声なし)
・聞くだけ(映像なし)
のいずれでも楽しめる、とても汎用性の高いものだということになる。もちろんすべての番組が「聞くだけOK&見るだけOK」ではないけれど、感覚的には7、8割のテレビ番組はここに入るのではないかと思う。
音声だけでは伝わらない番組:動きで笑いを取るバラエティー、映像を見て答えるクイズ番組、登場人物がいっぱい出てくるような複雑なドラマ、動物のドキュメンタリー
映像だけでは伝わらない番組:音楽番組、ものまね、音を当てるクイズ番組
現代人はとても忙しいので、ガッツリ見る場合は、TikTokのように時間が短いものを好む傾向がある。でも、それだと物足りなさを感じてしまうかもしれないし、時間が短いと表現に限界がある。もし何かをしながらでも楽しめ、それなりに満足感を得られるものがあれば、時間が多少長くてもテレビと付き合うことができるのではないだろうか。
聞くテレビという発想
音声プラットフォームはこれから先日本でも流行ると言われている。今まで美しい映像を売りにしてきたテレビだが、ここは「聞くテレビ」という新たな価値をアピールしてみてはどうだろうか。YouTubeにちょこちょこテレビ番組のチャンネルが増えてきているので、音声プラットフォームにも参入してみたらヒットチャンネルが生まれる気がする。(すでにしていたらごめんなさい。)
例えば、昨日の「ボクらの時代」。ワンオクのtakaさんと俳優の佐藤健さんと映画監督の大友啓史さんがとても面白い話をしていた。日曜日の朝7時~の放送。ファンなら出演番組はチェックしていると思うが、それ以外の人たちはどれぐらい起きているだろうか。ちなみにうちで起きていたのは私とカメ1匹のみで、他の家族3人は起きる気配もなかった。
これを音声配信してくれたら、聞く人は大勢いると思う。番組を見た私でも、もう一度聞きたいぐらいだ。ふだんテレビを見ない若者もテレビの音声に興味を持ち、それなら映像も見てみようかなと思い、番組によってはリビングのテレビを見にくるかもしれない。
ラジオの時代に逆戻りのような気もしなくもないが、リビングに家族全員が集まってテレビを見ながら一家団欒という時代はもう終わってしまった。テレビは家族で見るものではなく、インターネットと同じように、個で楽しむものに変化している。個で楽しめるツール(スマホかパソコン)にバチッとはまるテレビの形態があれば、そこから何かが始まるかもしれない。私はそれが「聞くテレビ」だと思っている。
(私の長い長い独り言を最後まで読んでくださりありがとうございました。)