録画していた「プロフェッショナル仕事の流儀」を見た。お笑い養成所講師・本多正識(ほんだまさのり)さん。NHKなので社名は出さないが、お笑い養成所というのはNSC(吉本総合芸能学院)のことである。
予備知識ゼロでNSCの先生ってどんな感じなんだろうという好奇心で見始めた。率直に言うと、華やかなお笑いの裏側は、思っていた以上に地味で地道だった。
順番に生徒たちが2分という短い時間でネタを発表しているとき、本多さんはネタを見ながら手元にあるチェックリストに記入していく。ひたすら作業をこなしているという感じだ。本多さんは全く笑わない。面白くても笑わない。
本多さんは63歳であるが、その世代らしくなく、自分の意見を押し付けることはしていなかった。かなり斬新なネタをするコンビにも対しても彼らの世界観を尊重していた。
本多さんの「好きなことしいや」という言葉にハッとする。これをやったら確実に笑いが取れると分かっている笑いの方程式があっても、それがやっている本人の腑に落ちないなら続かない。だから、好きなことをすることが大事だという。
売れたら売れたで、また別の試練がある。今人気のすゑひろがりずは、同じことをやっていては上に行けないと危機感を持ち、新たなネタを本多さんに相談をしていた。M-1決勝に残り、さまざまなバラエティーで見かける彼らでもまだ安泰ではない。芸人になったら休まるときがないんだろうなあと思う。新人がドンドン出てくるし、大御所で第一線で活躍している人もいるから、さぞかし売れ続けることは大変だろう。余談だが、番組でちょこっと映っていたネタがとても面白そうだったので、YouTubeで探したらすぐ見つけられた。「英語の発音」という動画。結構面白かったので、チャンネル登録もしてみた。
すゑひろがりずの話が長くなってしまった。話を戻すと、本多さんは今も漫才の脚本を書いているという。昔の笑いと今の笑い、きっと全然違うだろう。今の笑いを常に自分の肌で感じ、制作もやり、若手の指導もするというのは、並大抵のエネルギーでは務まらないのではないか。人気があるコンビにも、まだ芽の出ないコンビにも、的確なアドバイスができるというのはすごいことだ。
きっと今日も本多さんは地道に働いて、芸人さんたちを輝かせているのだろう。